管理規約の遵守義務を負うのは誰?

マンション管理
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どうも弁護士のスヌスムムリクです。

マンションに居住する場合、ほぼ100%管理規約が存在し、これを遵守することになるかと思います。

でも、実は居住パターンによって、管理規約の遵守義務の負い方って違うんですよね。

この違いを理解しておかないと、規約や使用細則を変更・新設する際の条文の建付けがおかしくなってきてしまうんじゃないかと考えています(まぁ、私が作る側に回ることは当分ないかと思いますが・・・)。

以下では、次の居住パターン別に解説します。

①区分所有者の場合

②区分所有者の同居人の場合

③賃借人等の占有者の場合

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区分所有者の場合

そもそも、管理規約は、一般的に次のような目的で制定されております。

標準管理規約

(目的)

第1条 この規約は、○○マンションの管理又は使用に関する事項等について定めることにより、区分所有者の共同の利益を増進し、良好な住環境を確保することを目的とする。

https://www.mlit.go.jp/common/001202416.pdf

そして、この目的を前提に、区分所有者に対して、次のような遵守義務を課しています。

標準管理規約

(規約及び総会の決議の遵守義務)

第3条 区分所有者は、円滑な共同生活を維持するため、この規約及び総会の決議を誠実に遵守しなければならない。

2 区分所有者は、同居する者に対してこの規約及び総会の決議を遵守させなければならない。

https://www.mlit.go.jp/common/001202416.pdf

第3条1項のとおり、区分所有者は直接的に規約の遵守義務を負っていることが分かります。

区分所有者の同居人の場合

区分所有者の同居人の場合、「区分所有者」には該当しない以上、第3条1項は適用されません。

つまり、区分所有者の同居人は、直接的に規約の遵守義務を課せられていないということです。

しかし、第3条2項において、区分所有者は、同居人に規約を遵守させる義務を課せられています。

その結果、区分所有者の同居人は間接的に規約の遵守義務を負っていることになります。

賃借人等の占有者の場合

賃借人等の占有者は、規約3条の「区分所有者」「同居する者」には該当しません。

そうなると、賃借人等の占有者は、管理規約を遵守する必要がないのか?と疑問に感じますが、そこは上手くフォローされています。

区分所有法

(規約及び集会の決議の効力)

第46条 規約及び集会の決議は、区分所有者の特定承継人に対しても、その効力を生ずる。

2 占有者は、建物又はその敷地若しくは附属施設の使用方法につき、区分所有者が規約又は集会の決議に基づいて負う義務と同一の義務を負う。

https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/viewContents?lawId=337AC0000000069_20150801_000000000000000

賃借人等の占有者は、区分所有法46条2項(標準管理規約5条2項)により、「建物又はその敷地若しくは附属施設の使用方法」に関しては、区分所有者と同様に、直接的に規約の遵守義務を負うことになります。

ちなみに、標準管理規約19条には、次のような規定があります。

標準管理規約

(専有部分の貸与)

第19条 区分所有者は、その専有部分を第三者に貸与する場合には、この規約及び使用細則に定める事項をその第三者に遵守させなければならない。

2 前項の場合において、区分所有者は、その貸与に係る契約にこの規約及び使用細則に定める事項を遵守する旨の条項を定めるとともに、契約の相手方にこの規約及び使用細則に定める事項を遵守する旨の誓約書を管理組合に提出させなければならない。

https://www.mlit.go.jp/common/001202416.pdf

19条1項を見てみると、区分所有者は、専有部分を賃貸に出す場合、第三者に「この規約及び使用細則に定める事項」を遵守させる義務を負っています。

賃借人等の占有者は、区分所有法では、「建物又はその敷地若しくは附属施設の使用方法」に関して遵守義務を負っているだけでしたが、規約19条1項に基づき、間接的にそれ以上の遵守義務を負うのかな?と一瞬思いましたが、こちらもしっかりとフォローされていました。

標準管理規約コメント

第19条関係

① 規約の効力は対象物件の使用方法につき占有者にも及ぶが、本条は、それ以外に、区分所有者がその専有部分を第三者に貸与する場合に、区分所有者がその第三者に、この規約及び使用細則に定める事項を遵守させる義務を定めたものである。

② 第三者が遵守すべき事項は、この規約及び使用細則に定める事項のうち、対象物件の使用に関する事項とする。

https://www.mlit.go.jp/common/000161665.pdf

標準管理規約コメントを読む限り、賃借人等の占有者が規約の遵守義務を負う範囲は、「対象物件の使用に関する事項」に限定されているようです。

まとめ

以上のとおり、区分所有者とその同居人は、直接的に規約の遵守義務を負うか否かで違いがあります。

また、区分所有者と賃借人等の占有者は、規約の遵守義務を負う範囲に違いがあります。

ではでは。

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