どうもスヌスヌムリクです。
最近、さぼり気味だったので、久しぶりにマンション管理ネタの記事を投稿しようかと思います。
ずばり、オンライン理事会(WEB理事会)についてです!!
新型コロナウイルスに伴う緊急事態宣言が解除されてから、まもなく6ヶ月が経過しようとしていますが、一向に落ち着く気配がありません。
こうした中、世間では、3密回避、ソーシャルディスタンスなどという用語が根付き始め、オンライン化が推奨されるようになってきました。
その一つにオンライン理事会(WEB理事会)が挙げられます。
私が住んでいるマンションも、オンライン理事会(WEB理事会)を視野に入れた規約変更が行われましたが、もはやオンライン理事会を視野に入れた取組みは、各管理組合の関心事になっているような気がします。
以下では、オンライン理事会(WEB理事会)に関し、次のような事項について触れたいと思いますので、お付き合いください。
①オンライン理事会(WEB理事会)とはどういうものなのか
②オンライン理事会(WEB理事会)のメリット・デメリットは何か
③オンライン理事会(WEB理事会)を視野に入れた取組みとは何か
④アフターコロナでの理事会運営の在り方
オンライン理事会(WEB理事会)とはどういうものなのか
オンライン理事会(WEB理事会)とは、理事会役員が集会室等に集まって会議をする方法ではなく、ZOOMやSkype、LINEでの理事会参加や議決権行使を認める方法です。
コロナ禍において、テレワークやオンライン飲み会など、ZOOMやSkype、LINEなどを用いた”オンライン化”が広く普及しましたが、オンライン理事会(WEB理事会)もその一つになります。
オンライン理事会(WEB理事会)のメリット・デメリットは何か
オンライン理事会(WEB理事会)には、リアル理事会と対比してみると、次のようなメリット・デメリットがあります。
ただ、リアル理事会にこだわり、コロナ禍が収束するまで理事会を延期・中止するというのは、管理組合の運営という観点からほぼ不可能なので、オンライン理事会(WEB理事会)の導入は論を待たずでしょう。
メリット
・集会室などの「場所」を確保する必要がない
→理事会開催予定日に集会室の利用申込みが競合してしまったという事態はなくなります。
・理事会に出席する「場所」を選ばない
→自宅や宿泊先からでも理事会に出席できます。特に子育て世代の理事にとってはかなりのメリットかと思います。
・ペーパーレスになる
→画面共有機能を利用したり、資料をクラウドで共有するなどのやり方ができます。
・理事会の開催時間を選ばない
→自宅などでも理事会に出席できるので、集会室が開いている時間を気にする必要がなくなります。
デメリット
・パソコン等に不慣れな理事が参加しにくい
→普段はパソコンを使用しないような方には、ハードルが高そうです。
・パソコン等の機器のスペックによっては円滑な理事会進行が難しい
→インターネット環境によっては、音が途切れてしまったりする可能性があります。
・理事会メンバーの雰囲気・空気感までは伝わらない
→雰囲気・空気感を重視される方は一定数いますよね・・・
オンライン理事会(WEB理事会)を視野に入れた取組みとは何か
さて、前置きが長くなってきましたが、これからが本題です!
オンライン理事会(WEB理事会)は、そもそも区分所有法や管理規約で認められているのかという問題があります。
区分所有法との関係について
区分所有法は「理事会」管理方式を前提に作られているわけではありません。
そのため、規約にオンライン理事会(WEB理事会)の規定を盛り込むことも可能なはずです。
この時点で、オンライン理事会(WEB理事会)をどのように運営していくのかという点は、規約の建付け次第という整理になります。
管理規約との関係について
マンションの管理規約が標準管理規約をベースに作られているとすると、管理規約との関係で調整が必要になってきます。
つまり・・・
標準管理規約では、53条2項の一部例外的な場合を除き、「書面」「電磁的方法」を用いた理事会決議は認められず、リアル理事会を想定しているように読めます。
(理事会の会議及び議事)
第53条 理事会の会議は、理事の半数以上が出席しなければ開くことができず、その議事は出席理事の過半数で決する。
2 次条第1項第五号に掲げる事項については、理事の過半数の承諾があるときは、書面又は電磁的方法による決議によることができる。
https://www.mlit.go.jp/common/001202416.pdf
また、標準管理規約における「電磁的方法」の定義(44条部分)を確認すると、ZOOMやSkype等を用いる方法は、「電磁的方法」に該当しないと考えられます(一)。
※理事会の審議を録画できる場合には(二)に該当するようにも思えます。
前項の電磁的方法は、次に掲げる方法によるものとする。
一 送信者の使用に係る電子計算機と受信者の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織を使用する方法であって、当該電気通信回線を通じて情報が送信され、受信者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに当該情報が記録されるもの
二 磁気ディスクその他これに準ずる方法により一定の情報を確実に記録しておくことができる物をもって調製するファイルに情報を記録したもの(以下「電磁的記録」という。)を交付する方法
https://www.mlit.go.jp/common/001202416.pdf
以上を踏まえると、マンションの管理規約が標準管理規約ベースの場合には、オンライン理事会(WEB理事会)の開催に関する規定を新設する必要があるという整理になります。
逆に言うと、オンライン理事会(WEB理事会)の開催に関する規定を新設すれば対応可能ということです。具体的には、規約上、①どういう場合に、②どのような手続をすれば、③どのような形式でオンライン理事会(WEB理事会)を開催できるのか、④オンライン理事会(WEB理事会)では、どのような事項について審議・決議できるのかという点を定めておくべきです(細かい話は細則で定めても良いかと思いますが。)。
参考までに、標準管理規約コメントの53条関係では、次の指摘がなされております。
① 理事は、総会で選任され、組合員のため、誠実にその職務を遂行するものとされている。このため、理事会には本人が出席して、議論に参加し、議決権を行使することが求められる。
⑤ 理事会に出席できない理事について、インターネット技術によるテレビ会議等での理事会参加や議決権行使を認める旨を、規約において定めることも考えられる。
⑥ 第2項は、本来、①のとおり、理事会には理事本人が出席して相互に議論することが望ましいところ、例外的に、第54条第1項第五号に掲げる事項については、申請数が多いことが想定され、かつ、迅速な審査を要するものであることから、書面又は電磁的方法(電子メール等)による決議を可能とするものである。
https://www.mlit.go.jp/common/001202416.pdf
なお、余談ですが、標準管理規約52条4項では、理事会の招集方法について、総会の招集方法に関する規定(43条)を準用しております。43条1項では、総会を招集するにあたり、「会議の日時、場所及び目的」を示すことになっていますが、オンライン理事会(WEB理事会)の場合には、「場所」を示せないので、オンライン理事会(WEB理事会)に限っては「方法」などに読み替える旨の規約変更も必要になるかと思います。
アフターコロナでの理事会運営の在り方
標準管理規約は、前述のとおり、原則としてリアル理事会を想定している建付けになっています。
これは、理事会に対し、「検討結果」の妥当性だけでなく「検討過程」の妥当性まで期待しているからに他なりません。
今後、国交省が、アフターコロナでの理事会運営の在り方として、オンライン理事会(WEB理事会)を広く許容する建付けを採用するのか、あくまで例外という建付けを維持するのか、標準管理規約の改定動向が非常に気になります。
また、オンライン理事会(WEB理事会)には非常にメリットが多いと考えていますが、オンライン理事会(WEB理事会)に理事会メンバーでない者がなりすましで出席したり、議決権を行使したりという問題事案は容易に想定できます。
そのため、国交省としては、オンライン理事会(WEB理事会)における本人確認ルールなども併せて見解を示して欲しいところです(ZOOMやSkypeであれば顔を確認できますが、メールだと本人確認をするのが難しいですよね。)。
最後になりますが、コロナ禍の下、多くの理事会では、緊急対応として、規約にオンライン理事会(WEB理事会)の規定がない場合でも実施しているのが実情かもしれません。しかし、前述のとおり、標準管理規約ベースの規約の場合には、オンライン理事会(WEB理事会)の実施が手続的に規約に反してしまっている状況にあります。そのため、可及的速やかに規約に明文を置いた方が良いと思います。
ではでは。
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