どうもスヌスムムリクです。
今年のゴールデンウイークは10連休だったという人が多いと思いますが、10連休もあっという間に終わり、「明日から日常に戻るのか…」「会社に行きたくない。」などなど、何となく気が重い方も多いのではないでしょうか。
こうした中で、最近、「退職代行会社」を利用する方が増えているようです。
でも、「退職代行」というワードをご存知の方は多いと思いますが、“退職代行サービスって非弁で違法ではないの?”と疑問を感じた方は少ないと思います。
そこで、以下では、退職代行会社の業務が非弁行為に該当するのかという点について述べます。
1 弁護士以外が行うことができない行為とは?
弁護士法では、報酬を得る目的で、業務として「法律事務」を行うことができるのは弁護士のみとされており、非弁護士が「法律事務」を行うと違法になります。
(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)
第七十二条 弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。
弁護士法72条
つまり、「非弁行為」とは、①非弁護士が、②報酬を得る目的で、③業務として④法律事務を行うことを指します。
なお、非弁行為を行った者は、2年以下の懲役または300万円以下の罰金に処されます(弁護士法77条)。
2 退職代行サービスはどこからが非弁行為になるのか?
退職代行サービスには、様々なバリエーションが想定されますが、非弁行為かどうかは、基本的に退職代行サービスが本人の「代理」か「使者」かという点で区別できるものと考えます。
例えば、退職代行サービスの内容が、単に本人の退職の意向を会社にそのまま伝達するだけ、退職届を会社に届けるだけであれば、本人の「使者」にすぎないものと評価されやすいです。
他方で、上記サービスに留まらず、退職日の調整、退職金や未払残業代の支払請求、和解協議等までしている場合には、単なる本人の「使者」ではなく、「代理」交渉(法律事務)として、非弁行為と評価される可能性が高いです。
ちなみに、退職代行会社が弁護士からアドバイスをもらって対応していた場合でも、会社自体が主体的に交渉業務を取り扱っていれば、非弁行為と評価される可能性が高いと思います。
なお、退職代行は、最近話題の新しいサービスなので、そこまで裁判例等が蓄積されているわけではありません。そのため、以下で述べることは確立した法解釈基準ではありませんので、ご留意ください。
3 退職代行会社ができる行為とは?
先程も述べましたが、非弁行為かどうかは、基本的に退職代行サービスが本人の「代理」か「使者」かという点で区別できます。
そのため、退職代行会社のサービス内容が、単に本人の退職の意向を会社にそのまま伝達するだけ、退職届を会社に届けるだけであれば、本人の「使者」にすぎないので、非弁行為とは評価されないのではないかと考えます。
なお、退職代行会社に退職代行を依頼された方としては、同じ担当者に、退職の意向を会社に伝達してもらうだけでなく、退職日や退職金等の交渉も併せて依頼したいと考えるかもしれません。しかし、退職代行会社が退職日や退職金等の交渉をすることは非弁行為と評価される可能性が高いです。
上記のような大手退職代行会社などもあるみたいですね。
4 まとめ
会社を退職する場合、単に退職の意向を伝えればそれで終了ではありません。
退職の意向を伝えた後、退職日の調整、退職金や未払残業代の支払請求等が必要になるケースも少なくないですし、会社との協議が難航した場合には、更に調停、労働審判、裁判等の法的手段を講じることになります。
そのため、個人的には、どなたかに退職代行を依頼したい方は、弁護士に依頼するのが安心だと思います。
弁護士であれば、退職代行が非弁行為と評価されることはないですし、退職日の調整、退職金や未払残業代の支払請求等もできますからね。
なお、弁護士に依頼した場合の費用については、別の記事で紹介していますので、参考にしてください。
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