どうもスヌスムムリクです。
先日、友人から、「弁護士費用っていくらくらいなの?」「かなり高いんじゃないの?」というような質問を受けました。
確かに、私の友人に限らず、他の人からもこうした質問を良く耳にする機会があります。
でも、こうした質問は、「弁護士報酬」がどのように算出されるのか把握されていないにもかかわらず、「高い」と決めつけているケースが多いように思えます。
そこで、読者の皆さんが「弁護士報酬」がどのように算出されるのかイメージしやすいように、以下で一例を紹介いたします。
なお、私が「一例」としたのは、現在、弁護士報酬は自由化されており、厳密な基準がないからです((旧)日本弁護士連合会報酬等基準に沿った運用をしている法律事務所が多いですが…)。<
1.弁護士報酬の内訳
弁護士報酬は、大別すると、一般的には、①着手金、②成功報酬、③実費、④日当の4つに分けられます。
なお、上記弁護士報酬の内訳は、弁護士に事件対応を依頼した場合に発生するものです。これとは別に、事件対応を依頼する前に弁護士に相談をされる際には、相談料が発生しますが、多くの法律事務所では「30分 5000円+消費税」というところが多いです(相談される前にホームページや電話で確認をされた方が良いです。)。
(1)着手金
着手金というのは、弁護士の労力(交渉、調査、書面作成、裁判所への出廷等)自体への対価になります。
着手金は、通常、弁護士に依頼する際に請求されますが、その案件がどのような結果になっても発生し(例えば、裁判で負けた場合でも発生します。)、返金対象にはなりません。
(2)成功報酬
成功報酬というのは、弁護士活動の結果、依頼者が現実に経済的利益を得た場合に、その結果への対価になります。
成功報酬は、その案件が終了した際に請求されるもので、事件の種類や難易度、経済的利益に応じて算出されます。
(3)実費
実費というのは、例えば、交渉相手への内容証明郵便の送料や交渉相手との面談の際の交通費などです。
(4)日当
日当というのは、弁護士が遠隔地への出張等を伴う業務に従事した場合の報酬になります。
例えば、長距離移動が予想される事案で、「○km以上の出張の場合には、1回○万円」などと定められているような場合に発生するものになります。
(5)その他
なお、上記のような算定方法の他に、タイムチャージ制というものがあります。
これは、「1時間○万円」などのように、事件処理に要した時間に応じて弁護士費用が算定されるものです。
タイムチャージ制の場合、一見すると明瞭会計のように思えますが、事件処理が終わるまで弁護士費用の「上限」が確定しないというデメリットがありますので注意が必要です。
2.弁護士報酬の算定
(旧)日本弁護士連合会報酬等基準に沿って、以下の具体例で弁護士報酬を算定してみます。
なお、実際に弁護士さんに依頼される際には、弁護士費用がどのくらいになるのか、しっかりと見積りを取りましょう。
<具体例>
Aさんは、職場の同僚であったX子さんと一緒にプロジェクトを担当したことをきっかけに仲良くなり、X子さんが既婚者であることを知りつつ、次第に不倫関係に発展することになった。その後、X子さんの夫であるBさんに、AさんとX子さんの不倫関係が露見することになり、Aさんは、Bさんから慰謝料500万円の損害賠償請求訴訟を提起された。
<報酬基準>
・着手金
300万円以下の場合 経済的利益の8%
300万円を超え3000万円以下の場合 経済的利益の5%+9万円
・報酬
300万円以下の場合 経済的利益の16%
300万円を超え3000万円以下の場合 経済的利益の10%+18万円
<Aさんの場合>
Aさんは、Bさんから慰謝料500万円を請求される立場になりますので、着手金は34万円(500万円×5%+9万円)になります。
その後、Bさんとの和解協議の中で350万円での和解で解決となった場合、500万円から350万円に減額になっているため、減額分の150万円が「経済的利益」となり、成功報酬は24万円(150万円×16%)になります。
<Bさんの場合>
Bさんは、Aさんに慰謝料500万円を請求する立場になりますので、着手金は34万円(500万円×5%+9万円)になります。
その後、Aさんとの和解協議の中で350万円での示談で解決となった場合、この350万円が「経済的利益」となり、成功報酬は53万円(350万円×10%+18万円)になります。
なお、いずれの場合も、着手金、成功報酬以外に、実費や日当(場合による)が追加されることになります。
3.まとめ
いかがでしたでしょうか。
やはり弁護士報酬は「高い」ですかね?!
なお、現在でも(旧)日本弁護士連合会報酬等基準に沿った運用をしている法律事務所が多いです。
(旧)日本弁護士連合会報酬等基準は、インターネットなどで確認することもできますので、弁護士に事件処理を依頼したい場合には、予め(旧)日本弁護士連合会報酬等基準をみて、弁護士費用がどのくらいになるのか計算してみてはいかがでしょうか。
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