どうも弁護士のスヌスムムリクです。
早速ですが…
当マンションで修繕工事が必要な箇所が発見されました。
こうした指摘を目にすると、マンション居住歴が長い方や区分所有法・管理規約に関する知識がある方は、「修繕工事が必要な箇所は専有部分?共用部分?」「その費用負担は、区分所有者?管理組合?」といった思考になるのではないでしょうか。
ですが、実際問題として、 修繕工事が必要な箇所が専有部分・共用部分のどちらに属しているのか判断が難しい場面があるように思います。
まずは、いつもどおり区分所有法を見てみます。
区分所有法第2条
3 この法律において「専有部分」とは、区分所有権の目的たる建物の部分をいう。
4 この法律において「共用部分」とは、専有部分以外の建物の部分、専有部分に属しない建物の附属物及び第四条第二項の規定により共用部分とされた附属の建物をいう。
上記リンク参照
つまり、「区分所有権の目的たる建物の部分」が「専有部分」で、それ以外は「共用部分」ということですので、「区分所有権の目的たる建物の部分」なのかどうかの判断がポイントになります。
つぎに、国土交通省の標準管理規約(単棟型)を見てみます。
標準管理規約第7条
対象物件のうち区分所有権の対象となる専有部分は、住戸番号を付した住戸とする。
上記リンク参照
なるほど、 「住戸番号を付した住戸」が「専有部分」(=「 区分所有権の目的たる建物の部分」) という整理のようです。
ただ、これ解決ではありません。重要なのは、「専有部分」と「共用部分」の境界・区別の問題です。
この点、標準管理規約第7条2項・3項は、この問題について、次のような整理をしています。
標準管理規約第7条
2 前項の専有部分を他から区分する構造物の帰属については、次のとおりとする。
一 天井、床及び壁は、躯体部分を除く部分を専有部分とする。
二 玄関扉は、錠及び内部塗装部分を専有部分とする。
三 窓枠及び窓ガラスは、専有部分に含まれないものとする。
3 第1項又は前項の専有部分の専用に供される設備のうち共用部分内にある部分以外のものは、専有部分とする。
また、標準管理規約第7条のコメントでは、次のような指摘がされています。
③ (注:標準管理規約第7条)第1項は、区分所有権の対象となる専有部分を住戸部分に限定したが、 この境界について疑義を生じることが多いので(注:標準管理規約第7条)第2項で限界を明らかにしたものである。
標準管理規約では、「専有部分」と「共用部分」の境界・区別の問題について疑義が生じにくいように、条文化されているわけですね。
なお、前回の記事(国土交通省のマンション管理にかかる資料一覧)で紹介した資料(マンション管理標準指針)では、68頁以下で上記問題について触れられています。その中で、標準管理規約を前提にした場合の整理について、次のように図示されています。
以下、マンション管理標準指針コメント2(国土交通省 平成17年12月策定)より抜粋
実際には、各マンションの管理規約は、標準管理規約をそっくりそのまま利用しているわけではないと思いますので、管理規約の規定の仕方を個別に参照して判断することになりますが、上記図などは参考になります。
次回の記事では、より具体的に給排水管から漏水が起こった場合の対応について、記事にできればと考えています。
ではでは。
コメント