理事会役員が法務見解にアクセスする方法は?

マンション管理
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 どうも弁護士のスヌスムムリクです。

 ふと思ったのですが、理事会役員の方々が法務見解を知りたいと考えた時、どのようなルートでアクセスすることになるのでしょうか?

 理事会役員の方々は、マンションの区分所有者に対して、誠実義務を負っていますので(標準管理規約第37条1項)、例えば、金額の大きな事項や管理組合への影響が大きな事項について業務を行う場合には、法的に問題がないか慎重に対応したいと考えるのが自然だと思います(中には、マンションを私物化するようなワンマン理事長もおられるのかもしれないですが…)。

第37条

役員は、法令、規約及び使用細則その他細則(以下「使用細則 等」という。)並びに総会及び理事会の決議に従い、組合員のため、誠実にその職務を遂行するものとする。

https://www.mlit.go.jp/common/001202416.pdf

 そこで、理事会役員の方々が法務見解にアクセスする方法について、整理してみました。

 以下のとおり、大きく分けると5つのアクセス方法があり得るかと思います。



①理事会役員又は居住者から法務有識者を探して相談する

 アクセス容易性という観点からすると、一番ハードルが低いように思えます。

 しかし、一定の報酬が発生するならまだしも、完全なボランティアということになると協力を得るのはかなり難しそうです。

 また、仮に協力が得られたとしても、自分が居住しているマンション内の問題に積極的に首を突っ込みたいという方は多くないでしょうから、現実的には、度々相談するのは難しいでしょう。

②管理会社の法務担当者に相談する

 次にアクセス容易性があるのは、管理会社の法務担当者ではないでしょうか。

 とはいっても、直接、理事会の役員の方々が管理会社の法務担当者に相談するのではなく、実際には、理事会の役員の方々が管理会社の担当者に対し、法務担当者の見解を確認するように依頼することになるかと思います。

 ただ、管理会社の法務担当者であれば、マンション管理にかかる法律問題について、一定の信頼はおけますが、前述のように、直接相談ができるわけではなく、管理会社の担当者を通じての相談になるかと思いますので、真意が伝わっているのか不安な側面があります。

 また、管理会社の法務担当者が弁護士やマンション管理士等の有資格者である保証はないという点も注意が必要かと思います。

③管理会社の顧問弁護士に相談する

 この方法は、前述②の方法の場合には、弁護士やマンション管理士等の有資格者である保証がないというデメリットを克服するものです。

 しかし、実際には、この方法を採用するのは難しいのではないかと思います。

 なぜなら、管理会社の顧問弁護士は管理会社と顧問契約を締結していますので、管理会社の利益を最優先とする回答をしてくることが予想され、必ずしも管理組合の利益を最優先とした回答になっている保証がないからです。

 また、管理会社の顧問弁護士は、管理組合と管理会社の利害が一致する案件ならまだしも、管理組合と管理会社の利害が相反する案件では、職務上、相談に乗ることが出来ないので、その意味でも、この方法を採用するのは難しいです。

④スポットで弁護士に相談する

  弁護士にスポットで法律相談をする場合には、30分●円などという相談料が発生します。

 規模が大きくなく、毎週・毎月のように法務見解を知りたい案件が発生しないようなマンションであれば、敢えて弁護士と顧問契約をせず、スポットで弁護士に相談するという方法を選択することで、顧問料等の固定経費を抑えられるメリットがあります。

 但し、弁護士にスポットで相談する場合には、飛び込み相談になるため、弁護士側が個別のマンション事情を熟知できておらず、抽象度の高い回答しか得られない可能性があるなどのデメリットがあります。

 また、法的措置を講じる場合に、顧問契約を理由とした弁護士費用の減額をしてもらえないなどのデメリットもあります。

⑤ 管理組合の顧問弁護士に相談する

  この方法は、管理組合として、信頼できる弁護士と顧問契約を締結しておき、法務見解を知りたい場合には、この顧問弁護士に適宜相談するというものです。

 顧問料の問題がありますが、個人的には理想の方法だと考えています。特に規模が大きく、法務見解を知りたい案件が定期的に出てくるようなマンションであれば、是非、顧問弁護士の起用を検討したいところです。

 マンションの規模や法務見解を把握する必要がある案件の多寡にもよりますが、 顧問弁護士に支払う毎月の顧問料は、3~10万円程度ではないでしょうか?。

 月3~5件程度の相談事項であれば、基本的に顧問料の範囲内(追加料金なし)で法律相談に乗ってくれるかと思います。

 また、管理費等の未収金督促、迷惑行為の差止め、競売等の法的措置を講じる場合、顧問弁護士に依頼すれば、顧問契約を理由に弁護士費用を減額してもらえるなどのメリットがあります。

 おわりに

 なお、現在、弁護士報酬は自由化され、各事務所・各弁護士が独自の報酬体系を持っていますが、未だにいわゆる旧報酬基準が参考にされています。

 弁護士に依頼した場合にどのくらい費用が発生するのか事前に予想するためのツールとして使えますので、気になる方は、インターネットで、「弁護士 報酬基準」などで検索してみてください。

 ではでは。

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